ABOUT US
なぜPGCLが このプロジェクトを始めるのか
日本は人口減少と高齢化という避けられない現実に直面しています。不動産業も、もはや「拡大による成長」だけを前提にしたモデルでは立ち行きません 。空き家の増加、都市と地域の格差、コミュニティの希薄化。こうした課題に対して、PGCLは従来の延長線上の解ではなく、「人口規模に依存しない豊かさを実装する」都市づくりに挑む必要があります。
さらに、これまでは「都市VS地方」という対立的な構図の中で、どちらかがどちらかから奪い取っているように語られてきました。しかし、都市は産業集積と効率化の拠点であり、地域は食料やエネルギー、資材、人や文化を育てる基盤です。この視点に立つと、両者は対立ではなく補完し合う関係にあることが見えてきます。
PGCLは、不動産と投資の観点からその新しい関係性を描き出し、都市と地域が自立しつつも支え合う未来を開く変化の起点をつくるために、このプロジェクトを立ち上げました。

その先にどのような未来を描くのか
PGCLが目指すのは、「人口減少を前提としながらも、豊かさと都市機能を維持・更新できる都市と地域の関係性」です。外部資本と地域資源を適切につなぎ直し、暮らしを支えるインフラや経済の仕組みを再構築することで、人口規模に依存しない持続可能性を実現する。
都市は効率化と集積によって経済や機能を支え、地域は自然資源や文化、生活の基盤を育む場として機能する。それぞれが自立しながら補完し合う関係を築くことで、日本全体をしなやかで耐久性のあるネットワーク型社会へと移行できると考えています。
このプロジェクトの成果は、都市と地域が新しい相互関係を描き直すための「変化の地図」として結実していきます。PGCLはその地図を多くの人と共有しながら、次の時代にふさわしい都市と地域の原型を共に描いていきたいのです。

TEAM MEMBER
-

Yuki Sato
佐藤 有希
日鉄興和不動産株式会社
FUTURE STYLE総研 チーフマネージャー -

Tomohiro Shiroki
白木 智洋
日鉄興和不動産株式会社
FUTURE STYLE総研 マネージャー -

Yohei Azakami
阿座上 陽平
株式会社Zebras and Company
共同創業者/代表取締役 -

Sonoko Tanaka
田中 苑子
-

Hiroshi Tamura
田村 大
株式会社リ・パブリック
共同代表 -

Fumiko Ichikawa
市川 文子
株式会社リ・パブリック
共同代表 -

Edward Masui
増井 尊久
株式会社リ・パブリック
シニア・ディレクター -

Ryo Ishida
石田 遼
株式会社NEWLOCAL
代表取締役 -

Yoshinori Shinoda
篠田 善典
株式会社NEWLOCAL
執行役員 -

Konel
クリエイティブパートナー
APPROACH
仮説と現場を往復し、
構造を更新するリサーチ
PGCLでは、特定のテーマを切り口としたデスクリサーチとフィールドリサーチを往復させながら、都市と地域の新しい関係性を探究していきます。初期フェーズでは、人口減少社会における労働や不動産を起点に、既存のデータや研究知を読み解き、これからの都市と地域のあり方に関する仮説を段階的にブラッシュアップしていきます。
その後、仮説を手がかりに実際の地域へとリサーチの軸足を移し、現地での対話や観察を通じて、その妥当性や限界を検証します。こうしたプロセスを通じて、都市と地域がどのように機能を分担し、補完し合うのかという関係性のモデル仮説を更新していきます。
リサーチにおける5つの姿勢
-
1
謙虚さと傾聴
外部の視点を持ち込むのではなく、まず地域の人々の声に耳を傾け、背景や文脈を理解することを大切にします。
-
2
構造と日常の往復
マクロな制度やインフラの構造と、住民の暮らしの実感を行き来しながら、地域を立体的に捉えます。
-
3
補完関係の発見
都市と地方、拠点と拠点を対立で捉えるのではなく、互いに補い合う関係性を探し出す姿勢を持ちます。
-
4
未来からの逆算
「今ある課題」だけに囚われず、望ましい未来像を思い描き、そこから逆算して必要な変化を考えます。
-
5
共創と検証の繰り返し
地域と共に仮説を立て、試行錯誤しながら検証を繰り返すことで、実践可能な知を共に育てていきます。
(2025年11月時点)
仮説観点 01
地域の3層構造から 見る関係性
地域を「ブロック拠点」「ハブ拠点」「小さな拠点」の3つに分類し、それぞれの役割や関係性を見ていきます。
- ブロック拠点空港や新幹線駅が立地し、経済の中心となるエリア
- ハブ拠点住宅や文化、産業が集まる地域の中核
- 小さな拠点農地・山間地・海岸部など一次産業を支える地域
この三層を分析することで、人・物・金の流れや、それを支えるインフラの結びつきがどのように構成されているのかを見極めることができます。重要なのは、これらが序列的に並ぶのではなく、相互依存の関係にあるということです。小さな拠点が持つ資源や人材はハブ拠点の文化や暮らしを支え、ブロック拠点の経済活動へとつながっていきます。逆に一部の層が脆弱になると、全体の循環が損なわれてしまいます。
この仮説を通じて、地域に存在する多様な拠点の役割を再評価し、持続可能な都市・地域像を構想する第一歩とします。
仮説観点 02
持続可能な都市と 地域づくりに向けた 変化の地図
人口減少社会において都市や地域を持続可能にしていくには、単に現状の課題を可視化するだけでは足りません。大切なのは、そこからどのような変化を積み重ね、未来に向かって歩んでいけるかというシナリオを描くことです。
そこで私たちは、インパクト投資の分野などで活用される「セオリー・オブ・チェンジ(社会変化の理論)」を応用します。これは、望ましい未来像から逆算し、そこに至るための要素や前提条件を整理していくアプローチです。
地域の三層構造や持続可能性を高める四要素の分析を踏まえつつ、
- どの資本や資源の動きが変化を引き起こすのか
- どんな制度や仕組みが支えとなるのか
- 暮らしや意識がどう変わることで次の段階に進むのか
といった「変化の連鎖」を地図のように描き出していきます。
この「変化の地図」は、不動産や事業投資/開発の戦略を設計する羅針盤であり、同時に地域が自らの未来を考えるときの共通言語となることを目指しています。
仮説観点 03
3層構造と持続可能性を 高める4つの要素
変化の地図を描くプロセスの中で、地域の持続可能性を考える上で欠かせない視点が浮かび上がりました。それが「経済」「文化や資源」「生活インフラ」「暮らし方」という4つの要素です。
- 経済外部資本の接続・活用
- 文化や資源固有資本の発掘・活用
- 生活インフラ暮らしに必要な基盤の充足
- 暮らし方多様な価値観の包摂
この4要素を「ブロック拠点」「ハブ拠点」「小さな拠点」という三層に重ねて検討することで、各拠点の強みや弱み、そして相互に補完し合う可能性が明らかになります。たとえば、ブロック拠点は経済的な力を持つ一方で文化的固有性を欠きやすく、小さな拠点は文化や資源の豊かさを抱えつつも生活インフラに弱点を持つことが多い。その偏りや不均衡を理解することが、新しい都市・地域の持続可能性を高める鍵となります。
この仮説は、三層構造を具体的に評価・補完するための「診断ツール」として機能するようにアップデートしていき、不動産や投資/事業開発の介入ポイントを探る基盤となっていきます。
OUR DESIRED FUTURE
私たちが望む未来
人が減ることを恐れるのではなく、
その変化を受け止め、新しい豊かさを育てていく。
街は効率や交流を生み出す場となり、
地域は人や文化や自然を育む場となる。
両者は対立するのではなく、響き合い、支え合う。
人と人が孤立せず、
資源や知恵が途切れず循環し、
多様な生き方が尊重される。
私たちはそんな社会を思い描き、
現状の延長線上ではない未来に至るための地図を探し続けています。